2022年12月11日

看護師が行う排痰法

はじめに

当施設で看護師が行う業務の中に、

カフアシストを使った排痰法があります。

実際にどのように行っているのか?

また、どういった事に気を付けてやっているのかなどを紹介させていただいただきます。

 

以前の記事紹介

以前ブログで紹介した物になります。

カフアシストやLICの練習~リハビリ科内情報共有会(勉強会)~ | 株式会社MC (mc-misato.com)

カフアシストのやり方や使用した物品、方法などを記載しています。

また、参考にしている文献も載せています。

カフアシストで大切なのは、咳の強化と痰の移動の2つで、

気道内分泌物の移動などに役立ちます。

 

MC訪問看護ステーションとは | 株式会社MC (mc-misato.com)

※記事内容変更 人数など

訪問看護ステーションにおける対象疾患や所属している看護師の紹介などを行っています。

 

上記の記事でも触れているカフアシストをもう少し詳しく、

実際どのように行っているのかを含めて紹介できればと思います。

 

カフアシストとは?

そもそもカフアシストとは株式会社フィリップス・ジャパン様が製造販売している製品名で、

正式にはMechanical insufflation-exsufflation(MI-E)と呼ばれる機械です。

MI-Eの呼気時のタイミングを合わせて胸部や腹部の圧迫を、

機械による咳介助機械的な咳介助に徒手介助を併用させた咳介助であり、Mechanically assisted coughing(MAC)と言います。

胸部の拡張後に、呼気時の胸腹部の圧迫介助を加え気道の虚脱を軽減する目的にも活用する事があります。

 

他にも、

製品名 コンフォートカフプラス ミニ ペガソ パルサー
製造元(国) SEOIL PACIFIC社 DIMA ITALIA社 SIARE ENGINEERRING INERNATIONNALI 社
販売元 パシフィックメディコ株式会社 エア・ウォーター株式会社 チェスト株式会社

などがあります。

 

例えば、身体の筋肉などが弱くなってしまい、咳が上手く出せないかたは、息が苦しくなってしまいます。

そういった時に本来であれば咳をするのですが、

筋肉などが低下し、咳をすることが出来ない方に対して、

人工的に咳をさせる事で呼吸状態を改善させ、和らげる事を目的としています。

※咳をしたときなどの最大呼気流量(中高齢の入院患者を対象とした検査)は、

自己喀痰できる人(感度と特異度の和が最も高くなる値)は約240L/min、

吸引が必要となる水準(感度と特異度の和が最も高くなる値)は100L/min

とされています。

神経筋疾患の方は270L/min以下になると十分に排痰出来ず呼吸不全に至る可能性があると述べられています。

 

つまり、

最初に空気を送り込んだ後(陽圧)、空気を吸い(陰圧)、

咳と同じ現象を起こしています。

痰がつまり呼吸苦を訴えている方に対して、

呼吸苦を軽減することができるかもしれないということです。

 

カフアシストのやり方

具体的な方法は利用者によって異なります。

当施設ではその人に会った回数や換気量などの看護師やリハビリが評価を行い、

看護師やリハビリが行えるように取り組んでいます。

 

最初は空気が送り込まれる事(陽圧)に慣れていないこともあるので、

圧を低めに設定して行います。

慣れてきたら、最大排気量などを考慮し圧の設定をおこないます。

 

通常、1セット5回、2-3サイクル行いますが、

回数などは利用する方に合わせて設定を行います。

 

カフアシストの注意点

①頻度を多くしすぎない

連続して多く行うと、過呼吸になってしまう恐れがある為、

痰が取れない場合は休憩をはさみ行うようにします。

②絶対的な禁忌

ブラのある肺気腫、

気胸や縦隔気腫、

人工呼吸による肺障害

③相対的な禁忌

不整脈や心不全症状がある場合は、

パルスオキシメーターを使用し、SpO2値を確認しながら行います。

SpO2の低下や、呼吸苦の出現、胸痛が発生した場合は、中断、または中止します。

 

実際にやっている様子

①前準備

カフアシストを行う前に看護師はゴーグルや、手袋を装着し、衛生管理を行います。

カフアシストを行う前に吸引を行います。

本人に「カフアシストを施工するか、スクイージングの有無や、本人の希望」を確認を行います。

※呼吸音の確認を行います。

 

 

②タイミング合わせ

「吸って、吐いて、吸って、吐いて」と看護師はカフアシストのタイミングを利用者へお伝えし、

フレックスチューブ(フレキシブルチューブ)を変える準備をします。

そして、停止のタイミングで交換します。

③胸郭介助

吸気の時は力を抜き、胸郭を広げる様に介助し、

呼気の時に手のひら全体で利用者の胸部を押していきます。

※本人に強さの確認を行います。

 

 

④フレックスチューブを戻す

停止のタイミングで機械を停止させます。

 

⑤吸引

カフアシストした後は、痰が上気道付近へあがってくる事が多いので、

しっかり吸引する事が大切です。

※本人にスッキリしているか、痛みがないかを確認する。

※聴診器にて呼吸音の確認をします。

 

当施設での取り組みについて

当施設に入職する大半の看護職員の方は、

カフアシストについて、前職や学校などでは経験がありませんでした。

しかし、当施設では新入職の看護職員やリハビリテーション職員に対して、

研修を行い、

知識と技術を習得しています。

 

また、不定期ではありますが、

全体での勉強会や看護部での勉強会、個別的な指導により、

不安なく働けるように取り組んでいます。

 

カフアシストにより、

「利用者様も呼吸が楽になった」

「看護師さんに助けてもらっている」

と思っていただけるように、

呼吸状態のアセスメント、カフアシストによる効果など学ぶことを忘れず、

介入していきたいと思います。

 

看護部はこれからも

「安心を与え、寄り添う仕事~ここに来て良かったと思える看護~」

を実現させていきたいです。

 

参考文献

)山川梨絵:人工呼吸,2010;第27巻:第二号:260-266:ページ排痰能力を判別する cough peak flow の水準 ―中高齢患者における検討―

 

 

※利用者様には写真の使用許可を得た上で使用しています。

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